卸販売で行う 物販系通販チャンンルを選ぶ時のメリットとデメリット

卸販売で行なう、物販系通販チャンネルのそれぞれについて、

  1. 広告宣伝費
  2. 在庫リスク
  3. 手数料(掛け率)
  4. 顧客リストの取得

の観点からメリットとデメリットを説明します。

目次

モール系通販

楽天やZOZOの様なモールへの出店する販売方法のメリットとデメリットです。

1.広告宣伝費

モール自体が行なっているWEB広告(リスティング広告など)の枠を買って自店舗の広告を載せる方法があり、そのための費用が必要になります。特にモール全体のセール期間中などは広告を出して売上UPを狙う店舗も多く、かなり高額な広告宣伝費が必要になります。
また、モール側と年間の広告予算(要するに、年間でいくら広告費を支払うのかのノルマの様なもの…)を結ぶ場合もあります。

2.在庫リスク

在庫の持ち方は自社のコントロールで行なえるので、売上予算に対して適正な在庫数で小リスクからスタートすることが可能です。

3.手数料(掛け率)

初期の出店費用、毎月の売上に対する手数料(4~10%前後)等が発生します。
また、ZOZOのように掛け率の納品で行なう場合もあります。
ちなみに、ZOZOの掛け率は60~65%くらいが相場と思われ、さらにここに広告費用があると考えると、あまり効率は良くないかもしれません。

4.顧客リストの取得

基本的には顧客リストはモール側のものになります。
購入した顧客に対して、プロモーションのためのアクションをかけることは可能ですが、自社で顧客リストを保有することができないので、リストマーケティン的な通販は難しいのが現実です。

まとめ

モール出店形式の最大のメリットは、やはりモールの知名度による集客性です。
ゼロから自社通販サイトを立ち上げるのと比較したとき、初期の段階での売上見込みはモール出店のほうが優位です。
ただし、顧客リストはモール側のものになってしまうため、モール系通販でスタートした場合は、そこから抜け出すことができません。言わば「顧客リストをモール側に人質にされている状態」です。
モール出店を行なう場合は、モール1本で行くのか、自社サイトと並行していくのか…など、将来の通販事業をどのように行なっていくかの検討が必要です。

紙媒体通販

カタログ通販、新聞通販、生協などの紙媒体への卸販売のメリットとデメリットです。

1.広告宣伝費

基本的に広告宣伝費を取られることはありませんが、協賛型といわれるタイプのカタログへの掲載は、「チラシ代」「協賛費」という形で1商品に対して数万円の費用が発生する場合があります。
この協賛型とは、商品を納品するベンダーもカタログの印刷費用を負担するタイプのモノになります。昔はそれほど多くは無かったのですが、カタログ通販の売上低迷に伴い、この協賛型が多くなってきている傾向があります。

2.在庫リスク

紙媒体系は欠品に非常に厳しい性質があります。
1回のカタログ掲載に対して、売上予算があり、基本的にはこの売上予算分の在庫を持っている必要があります。紙媒体である以上、売り切れ表示や在庫無し表記ができないため、発刊されたカタログの有効期限中は、在庫を常にキープしておくのがルールになっています。
在庫を持たずにいると、欠品が発生してしまうのですが、この欠品を非常に嫌い、欠品に対してペナルティ(罰金)を課している通販会社もあるくらいです。
また、基本的には委託販売形式になるので、売上予算の在庫を持っていても、商品が売れなかった場合は「知らんぷり」です!
その場合は、在庫は戻ってきてしまう(返品されてくる)ので、在庫の持ち方をどうするかのコントロールが難しい取引先です。

3.手数料(掛け率)

紙媒体の通販会社への掛け率は、50~60%が相場と言われています。
尚、問屋(通販専門の問屋が存在しています)を使う場合は、40~50%程の相場になると思われます。

4.顧客リストの取得

基本的には顧客リストは一切手に入りません。
あくまで「通販会社のカタログに掲載して販売してもらう」という卸販売の形式です。

まとめ

紙媒体通販の最大のメリットは、商品企画に専念できる点です。
卸販売のため、商品を納品した後の業務は、通販会社側が、受注、出荷、顧客クレーム対応の全てを行なってくれますので、企画と製品の生産納品に集中することができます。
自社通販を行なう予定が無く、メーカー寄りの事業形態でありたいと思っているのであれば、この紙媒体通販との取引はメリットが多いです。
ただし、デメリットとして、近年は紙媒体通販の売上がどんどん下がってきているので、業界自体の将来を検討する必要はあります。

放送系通販

ここではTV通販の卸業態である、CS系と地上波系に関してのメリットとデメリットを説明をします。
(同じ放送系でもラジオ通販は、紙媒体通販と同じ取引傾向です)

1.広告宣伝費

CS系も地上波系も広告宣伝費は発生しません。
あくまで、通販会社側が放送枠を持っているので、枠に対する費用の発生はありません。
ただし、CS系TV通販に関しては商品の販売の内容(基本的に1商品1時間のショー)を、全てベンダーで用意する持ち込み型です。
そのため、その商品ショーの企画に関する諸経費はベンダーが負担する必要があります。

2.在庫リスク

TV通販は、売上予算分の在庫を放映前に一括で納品する必要があります。
TV通販の商品発送リードタイムは非常に短く、早ければ放送日当日、遅くとも放送日翌々日には発送するシステムなので、放映前に納品を完了し、倉庫での棚上げを行っておく必要があるのです。
(ただし、食品やオーダーメードに近い宝飾品はこの通りでは無いようです。)
生産遅延や不良多発で、放映前に予定数を納品できなくなってしまった場合は、放映キャンセルになることもあり、また放映で売れなかった場合は、在庫は返品されてくるという厳しいシステムです。
TV通販は予算も大きいので、在庫リスクも大きく、キャッシュフローを考える必要があります。

3.手数料(掛け率)

TV通販の掛け率は、40~50%が相場と言われています。
また、セール販売(二重価格表示)を基本としているので、セールに価格に耐えうる原価構造にする必要があります。

4.顧客リストの取得

紙媒体通販と同じく、顧客リストは一切手に入りません。

まとめ

TV通販の最大のメリットは、マス媒体としての販売力です。
また、販売数量だけでなく、露出が増えるという点において広告宣伝的な効果もある媒体です。
在庫を用意する投資額と、在庫が売れ残ってしまった時のリスクも考慮したハイリスク、ハイリターンの媒体ではありますが、この媒体でヒット商品が出た時の売上は、1回の売上だけでも億の単位になります!

まとめ

卸販売で通販事業を行う場合は、基本的には顧客リストの取得ができないため、リストマーケティングとしての通信販売は行えません。

ただし、「商品企画に専念したい」という点や、「広告宣伝費を抑えて商品販売を行いたい」という点においてはメリットもあります。

また、卸販売といえど、TV通販のようなマス媒体で販売することは、それだけでも十分な宣伝効果がありますので、卸販売と並行して自社販売も行う際のメリットになります。

広告宣伝費、在庫リスク、顧客リストの取得の点で「自社通販」でいくのか、「卸販売」でいくのか、よく検討する必要があります。

通販販売チャンネル別 メリット デメリット
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