D2C通販を始める前に考える必要なこと  押さえるべき項目をリストアップ

BtoCやD2Cと言われる自社通販を始める前に、しっかりと検討しておくべき項目を洗い出します。

目次

自社通販と卸販売

物販系通販を考える時、自社通販(直販)と卸販売(通販会社への卸販売)の2つの方法がありますが、どちらもメリットとデメリットがあります。
利益率の点で言えば、もちろん直販である自社通販が最善の選択ですが、それはある程度の顧客が付き「通販事業が回っている」状態でのことになります。
自社通販は、新規顧客を獲得してリピーターが増えるまでの状態にするまでに、広告宣伝費等の初期投資の予算が必要になり、非常に負担になる部分でもあります。
一方、卸販売の場合は、カタログ通販等の販社へ一定の卸価格(30~60%の間)で販売しなければならないデメリットはあるものの、広告宣伝費の一切を販社が負担し、かつその販社の知名度を利用して商品の認知度を高めていけるメリットがあります。
なにより、スタート時の現金回収は、自社通販よりも卸販売のほうがスムーズな場合が多いです。
こうした両方の特性を活かして、自社通販の立上げ時は、自社通販(直販)と卸販売(通販会社への卸販売)を並行して行い、商品の露出を高めつつ、自社通販の新規顧客をコツコツと増やしていく方法がリスクも低く、効率的なためお勧めの戦略です。

D2C通販の事業計画

D2C通販を始める前に、まずは自社通販の収益構造を理解して、事業計画を立てる必要があります。
自社通販とは

顧客リスト獲得に投資し、通販という販売システムを使用して、リピート&クロス販売の利益で回収を行なうビジネス

です。

ですので、この事業を行なう際には、次の3つの点を押さえておく必要があります。

  • 自社通販(直販)のシステムを理解する
  • 新規顧客獲得の投資と、それに対する現金の回収スキームを理解する
  • 在庫と物流の管理方法を理解する

これを踏まえたうえで、事業計画を立てましょう。

商品開発

商品開発は、通販ビジネスの「肝」です!
通販ビジネスにおける、商品の特徴は「実際の商品を確認せず、広告のみで購入する」ということです。
つまり、消費者は「イメージ半分」の状態で購入を決定するのです。
そこをしっかりと理解したうえで商品開発を行う必要があります。
この点を抑えおけば、オリジナル商品、仕入れ商品に関わらず、通販で売れる商品を作ることが可能です。

顧客獲得(広告宣伝)

D2C通販に関わらず、通販は「如何にして効率的に顧客リストを獲得するか」という点が利益を左右します。
広告効率を検討する指標であるCPOの確認、広告のPDCAをしっかり行い、収益性を高めていく施策立案、運用が重要です。

どのような媒体に広告を出稿して、どれくらいの新規顧客を獲得できるかという点を、常に考えていくのが通販の広告宣伝です。
また、同じ商品でも広告を変えることで売上が全く異なるという現象も発生します。
これは、店頭に商品を並べて販売するのではなく、広告によって商品を販売する通販ならではの楽しさでもあります。
「全く売れなかった商品が、商品写真を変更しただけで急に売れ出す!」という現象も通販では良くあるエピソードです。

物流と在庫管理

D2C通販は、卸通販とは異なり顧客一人ひとりに個配送を行なう必要があります。
そのための、配送料を含めた物流コストをしっかりと計算していく必要があります。
卸事業を行なっていた企業がD2C通販をスタートすると、だいたいはこの「個配送に関わる労力とコスト」に驚くことになります。
顧客毎に、商品ピッキング、梱包、伝票発行、配送の工程とそれに伴うコストが発生します。さらに、返品・交換に伴うコストも発生しますので、この物流コストはバカにできません!
また、物流と同じくらい大切な在庫管理も忘れてはいけません。
お客様にスピーディに届けるために在庫を持つ必要がある反面、在庫を持ちすぎると不要なコスト(管理費用や保管代、さらには税金)が発生してしまいます。
D2C通販に限らず、通販事業を行う上で「適正在庫の管理」は永遠の改善課題といっても過言ではありません。
私も、通販業界に初めて入った当時には「在庫が会社を潰す!」と、上司から叩き込まれました。
物流コストと在庫状況は、常にチェックするようにしましょう。

現金の回収

D2C通販も卸通販も「現金回収のリードタイム」を考えて、商品の購買や経費使用を行う必要があります。
通販事業は一般的な小売り(量販店など)と異なり、商品が売れたら直ぐに売上が手に入る現金商売ではありません。
通販で顧客が支払いをする方法は、代引き、カード決済、後払い決済等がメインになりますので、決済代行会社を通しての原因回収となります。(銀行振り込み等の方法もありますが、割合としては少ないため、ここでは除外します)
ネット、カタログ、TV通販など全てに共通して言えることは、商品が売れてからその売上金が入るまで、少なくとも1カ月のリードタイムがあります。
D2C通販の直販通販の場合は、決済代行会社に支払う手数料を上げれば、15日程度で回収できる方法もありますが、それでも2週間はリードタイムが発生します。
また、卸通販においては、得意先である販社との支払い条件になりますので、一般的な「月末締めの翌月末支払い」であれば60日のリードタイムです。
手形支払いや、翌々月末支払い等の条件になってくると、90日以上のリードタイムが発生してしまう場合もあります。
現金回収のリードタイムを加味しないと、現金が入ってくる前に、仕入れ商品代金の支払いや経費の支払いが発生してしまい、手元の現金がショートしてしまう場合も発生してしまいます!
事業計画を立てる時には、この「現金回収のリードタイム」をしっかりと把握しておかなければ、事業そのものの継続が困難になってしまいますので、要注意!です。

カスタマーサービス

D2C通販では、販売前、販売後の顧客対応を全て自分たちで行う必要があります。
カスタマーサービス部門で行なう業務は次の業務があります。

  • 購入前顧客からの問い合わせ
    • 商品仕様について
    • 取引方法について
  • 購入後顧客からの問い合わせ
    • 商品仕様について
    • 商品の発送、納期について
    • 代金支払いについて
    • 商品交換について
    • 商品不具合について
    • クレーマー対応

特に商品交換、不具合対応、クレーマー対応は1件につき、思った以上の時間と労力が必要になります。
カスタマーサービスは、顧客の生の声が拾える「宝の山」と言われることも多いのですが、一方で思った以上に工数とコストが必要です。
カスタマーサービス部門を自社で運営するか、初めからアウトソーシングするか、もしくは初期段階では自社運営を行ない、ある程度の売上ができた時点でアウトソーシングするか等、計画性を持って取り組む必要があります。

品質管理

品質管理は「売上が安定してきたら設置しよう」と思うことの多い部署です。
D2C通販に限らず、他の通販会社も品質管理部門が弱い企業は数多くあります。
確かに、品質管理は間接部門であり売上を作る部署ではないので、後回しにする方法もアリです。
ただし、通販事業がどのようにして売上を伸ばすかの本質「リピート顧客をいかに増やすか」という点を考えると、品質管理は非常に重要な部署になります。
初めての購入で、その商品を気に入ってもらいリピート顧客になってもらうためには、「商品が良いもの」であることは欠かせません。
その部分を支えるのが品質管理という部署なのです。
長く愛される通販会社であるためには、良い商品を作る環境作りが必要不可欠です。
この部分に初期投資をするかどうか?も、ひとつのポイントではなか…と私は考えています。

まとめ

D2C通販をスタートする前に検討が必要な項目をピックアップしました。
それぞれの項目に関して、しっかりとプランを設計して、事業計画を立案しましょう。
通販は

顧客リスト獲得に投資し、通販という販売システムを使用して、リピート&クロス販売の利益で回収を行なうビジネス

という事業です。
まずは、初期投資に必要なコスト、事業を進めていくうえで必要なランニングコストの目安を作り、ヒット商品のアイデアを練っていくことが需要です。

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