戦後の通販再興期から今日に至るまで、紙媒体、TV、ラジオの放送系媒体、ネット媒体と様々な媒体で通販が行なわれてきました。
ここで、物販系通販をチャンネルごとにまとめます。
卸と自社通販
通販事業は、まず大前提で「卸販売で行うのか」「自社販売で行うのか」の2パターンにわかれます。
卸販売による通販
通信販売における「卸販売」は、自社で用意した商品を、販売先(カタログ通販会社やTV通販会社などの通販媒体をもっている企業)で委託販売をする方法を指します。
自社で商品を用意する在庫リスクはあるものの、販売に必要な顧客リストや広告費等の販管費、顧客への商品発送までの一連の手間と物流コスト等を、委託先の通販会社が担ってくれるメリットがあります。
商品企画に集中したいメーカータイプの企業では、この卸販売のスタイルを取る傾向が強くなっています。
ただし、顧客情報が手元に残らない、消費者の声がダイレクトに聞こえてこない、販売先の通販会社のMDに左右される、などのデメリットもあり、販売先側の経営状況がダイレクトに響いてしまうので、卸販売の業態を取るのであれば、その点も十分に考慮が必要になります。
尚、楽天、Amazon、ZOZO等の「モール出店」の方法も、卸販売に入ります。
自社通販
カタログ、TV、EC等の媒体を使用して、自社で通販事業を行なうことを指します。
商品企画、在庫、広告宣伝費、物流費など全てのリスクを取る必要がありますが、自社でダイレクトマーケティング、リストマーケティングを行うことができるという大きなメリットがあります。
新規顧客獲得のための広告宣伝費は非常に大きな額が必要となりますが、その分得られる利益も高いのが特徴です。
総合通販と単品通販
物販系の通販は、大きく「総合通販」と「単品通販」に分類ができます。
総合通販は、幅広いジャンルのアイテムを扱い多くのユーザーをターゲットにしている通販です。
アパレル、日用雑貨、化粧品等を幅広く扱い、幅広いターゲット層に販売しているTV通販は典型的な総合通販です。
多品種を使うため、取扱商品はオリジナル商品の他に、仕入れ(MDによるバイイング)商品が多いのも特徴です。
一方、単品通販は、専門通販、リピート通販等とも呼ばれ、特定のジャンルに特化して、ターゲットを絞り顧客ロイヤリティを高めてリピート購入をさせる通販です。
絞り込んた商品企画を行なうため、取扱商品は、オリジナル商品をメインとして他社との差別化を図っている企業が殆どです。
ニキビ用化粧品のプロアクティブのような、化粧品専門の通販は典型的な単品通販です。
物販系販売チャンネルの種類
紙媒体通販
カタログ通販
会員に対して、カタログ冊子を配布して受注を取るオーソドックスなタイプの通販です。
毎月、季節毎など、定期的に会員に対してカタログを配布し、商品販売を行なうスタイルです。
代表的なカタログ通販に、ベルーナ、ディノス、ニッセンなどがあり、基本的には女性向けカタログが殆どで、ファッション系の色合いが強い傾向もあります。
新聞通販
新聞の広告枠を購入して、そこで通販を行なう業態です。
アイテムは、オリジナル商品、仕入れ商品ともに取り扱い、宝飾など比較的高価なアイテムの取扱いもあります。
自社通販の会社が、新規顧客獲得の広告媒体のひとつとして新聞広告を使用するのとは異なり、新聞の広告枠を使用してカタログ通販を行なうようなイメージです。
媒体とする新聞社の読者傾向もあり、男性向けアイテムもよく売れるのが特徴です。
販売するアイテムが「新聞をよく読む人(会社員、男性、年配、高所得層など)」をターゲットとしているのなら、マッチングの高い媒体でもあります。
生協
生協(生活協同組合)もカタログ通販の一種になります。
店舗事業ではなく、各個人宅に食品を配達してくれる個配事業が通販に該当します。
実は、生協は食品だけでなく、日用品、生活雑貨、服飾、化粧品、美容健康雑貨….等、様々な商品を取り扱っている総合通販なのです!
個配事業は、週1回の商品配達の際に、次週の注文用のカタログが渡されます。
つまり、年間52回も発行されているカタログ通販なのです。
生協の売上高は3兆7千億円で、個配事業だけでも2兆1千億の売上があります。
あまり知られていませんが、生協の通販市場は、かなり大きな市場なのです。
顧客特性として、子育て世代や高齢者向けのアイテムがよく売れます。
放送媒体通販
TV通販
TV通販はインフォマーシャル系、CS系、地上波系の3つに分かれます。
●インフォマーシャル系TV通販
通販会社がTVのCM枠や放送枠を購入して、広告CMや番組を持ち込むタイプの通販です。
有名な会社はショップジャパン(オークロンマーケティング)や、ジャパネットたかた等があります。
露出は増えますが、TV局の枠を買い取るため、かなり高額の広告宣伝費が必要になる方法です。
●CS系TV通販
通販会社がCS(ケーブルテレビ)や衛星放送で専門チャンネルを立上げ、そこで通販専業の番組を運営するタイプの通販です。
24時間通販を長し続ける、ショップチャンネルやQVCが有名です。
放送枠を買い取る費用はありませんが、委託販売になりますので、卸価格の厳しさや、売れなかった場合の在庫リスクはかなり高いです。
また、商品紹介の番組内容は全てベンダー(メーカー)側の持ち込み企画になるため、番組構成の企画力も必要になります。
●地上波系TV通販
フジテレビや日本テレビ等、いわゆるキー局の通販番組で商品を販売するタイプのTV通販です。
番組制作はキー局側が行うので、広告宣伝費は必要ありませんが、CS系TV通販同様に委託販売のため、ベンダー(メーカー)側は卸価格の厳しさ、売れなかった場合の在庫リスクがあります。
ただし、「地上波」の視聴率は凄まじいものがあり、5分程度の番組であっても、かなりの売上を作ることが可能です。
ラジオ通販
ラジオを媒体として通販を行ないます。
ラジオ局自体が通販番組を持っているタイプと、通販会社が放送枠を買取り自社制作の通販を放送しているタイプがある。
ラジオ通販で有名な企業ははぴねすくらぶがあり、またジャパネットたかたもラジオ通販を行なっています。
ラジオ通販というとマイナーなイメージがあるが、独特の特徴(商品を見ないでイメージだけで購入する!)と一定層の顧客に支えられており、現在でも売上のある市場です。
平日にラジオを聞く機会の多い、車での外回り営業マンやリタイア後の男性高齢者層に顧客が多く、その特性から男性向けアイテムもよく売れます。
まとめ
以上のように、まず通販は「自社販売」か「卸販売」かで分類があり、物販系通販においては、販売チャンネル毎に特徴のある通販が存在しています。
もちろん、卸販売を行いながら自社販売を行う2本立てで運用している通販会社も存在しています。