化粧品OEMを行うにあたり、私が資料としたり勉強用として使用しているアイテムを紹介します。
少し古い書籍の情報もありますが参考として載せています。
化粧品成分の勉強
●化粧品成分用語事典 2012 中央書院
化粧品原料2,500品目の解説がされれいる辞書です。
ページ数も700ページ近くあり、かなりのボリューム!
気になったり、知らない成分を調べるための辞書としての利用もありますが、界面活性剤や、効果効能別など薬剤の分類別に調べることもできる点が便利です。
私が化粧品企画の仕事に就いて、初めて買ったのもこの本でした。
というよりも、むしろ企画担当者は必ず持っていた必携の書籍だったので、先輩に「買いなさい」と言われました(笑)
初心者にもわかりやすく、特に勉強を始めたばかりの当時は、成分名の横に表示名称があるのが助かりました。
当時は、「ビタミンC」という成分名は通称で、化粧品成分表示になると「アルコルビン酸」というのが正式名称(表示名称)だということすら知らなかったので…。
2012年版から更新されず少し古い書籍になりますが、今でも十分使用できる内容だと思います。
私自身、現在でも現役で使用しているアイテムになります。
「化粧品の成分表で、知らない成分や気になる成分を見た時は、直ぐにこの辞書で調べる」を繰り返すことで、どんどん知識がついていきますので、お勧めの一冊です。
Liuのお勧めポイント
- 化粧品成分2,500品目が網羅されているので、初心者も上級者にも役立つ
- 成分検索だけでなく、効果効能や基剤からの逆引きができる
- 通称名と表示名称の両方が記載してある
化粧品製造販売の勉強
●化粧品(薬用化粧品)の製造・販売のしくみ 薬事衛生研究会
タイトル通り、化粧品と薬用化粧品(医薬部外品)の製造・販売についてまとめた本です。
80ページほどでボリュームは多くありませんが、
- 化粧品と医薬部外品の違い
- 化粧品の製造販売の流れ(承認~許可~販売)
- 薬事法の規制概要(古い本なので「薬事法」になっています)
- 化粧品、医薬部外品の表示と広告
に関して、コンパクトにまとめられています。
特に、私は次の点が便利だな~と感じています。
- 化粧品、医薬部外品の効果効能の範囲が一覧表にまとめられている
- 化粧品、医薬部外品の容器・パッケージへの必須記載事項がまとめられている
- 成分のネガティブリストとポジティブリストが一覧でまとめられている
「要約まとめ本」的な感じで、化粧品製造のハンドブックとして手元で役立っています!
化粧品の初心者が読むと、やや専門的な内容もあり「???」となってしまうかもしれませんので、ある程度の知識がついてきた時に読むのがお勧めです。
化粧品と医薬部外品の製造販売に関わる情報を体系的にまとめあるので、頭の中の情報を整理してさらに深堀するのに役立つ本だと思います。
Liuのお勧めポイント
- 化粧品・医薬部外品の製造~販売までの流れが簡潔にまとめられてる
- 薬機法の規制、広告表示、成分リストの一覧表があり、ハンドブックとして便利
- 中級者、上級者は知識を体系的に整理するのに役立つ
●図解で学ぶ化粧品GMP 「ISO化粧品GMPガイドライン」をベースにして じほう社
化粧品製造現場のための解説書です。
著者は、実際に製造現場に長年携わってきた方なので、現場での経験、知見からの意見も入っていて実のある内容です。
現場で使用する文書、帳票類のテンプレートもある点は便利です。
ガチガチの「現場の専門書」なので、化粧品の企画だけでなく、製造現場の深い部分まで知りたい!という方向けです。
「化粧品GMP」と呼ばれる、化粧品の品質マネジメントシステムISO22716についての解説や、製造現場の運用の解説書になりますので、化粧品工場の現場で働く方の教科書としては、とても良い本と思います。
化粧品企画職の方で、これを読んでるとしたら相当なマニアックさです(笑)
下記の内容についてまとめられていますが、これを熟読したら化粧品会社の工場長と対等にお話ができるレベルです!
- 化粧品GMPについての概要
- 化粧品製造工程の各工程における管理ポイントと留意点
- 品質保証、品質管理についてのマネジメント方法
- 現場スタッフ、クレーム事故管理等のソフト面のマネジメント
- 各工程に使用する文書、帳票類の見本
私は化粧品の品質管理職になった時に購入して勉強しました。
工場の現場の方たちと話がスムーズに進むように、また色々な化粧品工場への監査の際の予備知識を付ける目的で学びましたが…かなり専門的です(-_-;
私が持っているのは初版なのですが、最新版の第3版には解説用のDVDが添付されているようなので、セミナーを受ける感覚で読み進められると思います。
Liuのお勧めポイント
- 本気で製造現場の知識を身に付けたい人には、解説書として良書
- 現場で使用する文書、帳票類のテンプレートがあり便利
化粧品・医薬部外品の広告表現と景品表示法に関する勉強
薬機法や景品表示法の広告規制については、法令で細かく決められているわけではなく、あくまで指針とガイドラインが示されるのみで、曖昧な部分が多いです。
とはいえ、違反すれば罰則を受けてしまうため、現場担当者は、実際の事例、判例をケーススタディで学び知見を深めていくしかありません。
ここでは、私が薬機法と景品表示法の広告表現規制についての勉強をするのに使用しているアイテムを紹介します。
●医薬品・化粧品等広告の実際 2006 薬事監視研究会
「医薬品等適広告基準」に基づく実際の事例を使用した解説書です。
- 法令や通達の抜粋と解説
- 医薬品、化粧品、医薬部外品、医療機器に関しての表示規制の説明と、実際の違反事例等を使用しての解説
- 景品表示法、公正競争規約いついてのまとめ
上記の内容をメインにまとめられています。
500ページもあるので、「読破する!」というよりは、広告表現の方法で迷った際に、実際の事例と解説を確認する参考書とする感じです。
ただし、2006年度版で止まってしまっているので、情報のアップデートが無いことが残念です!
Liuのお勧めポイント
- 法令、通達に即して実際の事例を解説してあるのでケーススタディ学習がしやすい
- 個別事例Q&A集は広告表現規制の初心者に分かりやすくて便利
●医薬品・医療機器・化粧品・健康食品の広告表示規制 2012年度版 情報機構社
こちらも「医薬品等適広告基準」に基づく実際の事例を使用した解説書です。
250ページ程度で、ややコンパクトになります。
「医薬品・化粧品等広告の実際 2006」と異なる点は
- 健康食品に関する章が設けられている
- 各広告媒体や広告方法に関しての規制や留意点がまとめられている
- 効果的な広告戦略と広告表現として、製作現場向けの章が設けられている
- 著作権に関しての解説の章が設けられえている
となり、薬機法、景品表示法の単純なケーススタディだけではなく、販売や広告作成者向けの内容も掲載があり、より現場に即した本となっています。
化粧品、医薬部外品の企画販売や広告制作に関わる方の参考書や入門書として活用できると思います。
ただ、こちらも2012年度版からアップデートが無いのが残念です。
Liuのお勧めポイント
- 法令、事例の解説だけではなく、広告制作や販売の現場に即した内容がまとめられている
- 薬機法、景表法の他にも必要な知識がコンパクトにまとめられているので入門書、参考書として良い
薬機法と景品表示法に関するセミナーや勉強
薬機法や景品表示法に関する書籍は、なぜか「薬事法時代」のものが多く情報のアップデートがされていません。
薬機法も景品表示法も、日々情報が更新され、常に新しい事例が発生してるため、この2つの法律に関わる業務担当者は、日頃の情報収集と勉強による知見のアップデートが欠かせません。
ここでは、私が実際に利用しているセミナーや情報を紹介します。
●消費者庁のホームページ
景品表示法の管轄省庁である「消費者庁」のホームページには、景品表示法に関する法令や通達の一覧の他に、実際に景品表示法による指摘や課徴金納付命令が下った事例の情報がまとめられています。
こちらを定期的に確認して、どのようなケースで法令違反と判断されたのかを確認しています。
●厚生労働省のホームページ
薬機法の管轄省庁である「厚生労働省」のホームページは、化粧品や医薬部外品に関する通達や情報が掲載されているので、定期的にチェックが必要です。
2021年8月より薬機法違反に対する課徴金制度が導入されましたので、こちらも常時の確認をしていますが、まだ通知のみで事例はUPされていません(2021年11月末現在)。
おそらく、今後は違反事例が共有されていくと思います。
●JAROのセミナー
「JARO 公益社団付法人 日本広告審査機構」いわゆる「ジャロ」のセミナーも定期的に受講しています。
JAROの会員にならないと受講できないセミナーなのですが、年に2回程度行なわれる、消費者庁の担当官を講師に迎えての「本年度の違反事例」は情報のアップデートとして重要です。
実際に指摘を受けたケースに関して、消費者庁の担当官が解説をしてくれるのです!
時間があれば、質疑応答タイムもあります。
私の周りでは「このセミナーのためにJARO会員になっている」という人も少なくありません。
年会費が16万近く必要なので、費用負担が大きいことが辛いですが…。
●全国公正取引協議連合会のセミナー
消費者庁・公正取引委員会の認定を受けて設立された協議会です。
春と秋の年2回、JAROと同様に消費者庁の担当官を講師に迎えて景品表示法のセミナーが開催されます。
このセミナーで、本年度の違反事例の解説と資料が配られます。
この資料もケーススタディの資料としてかなり良いので、参加の価値ありです!
1回の参加費が3万円近くするのでかなり高額ではありますが…費用をかけても得たい情報ではあります!
まとめ
以上が、私が化粧品、薬機法、景品表示法の勉強に使用している書籍やセミナーの情報になります。
薬機法や景品表示法に関しては、常に新しい事例が発生するので情報収集とアップデートが非常に重要になります。法令や通達はガイドライン的なものでしかなく、実際の事例を確認しながら、どのように解釈されているのかをケーススタディで学んで知識を習得していく方法しかありませんので、地味な作業ではあります….。
関連書籍やセミナーも多くはなく、紹介した書籍も絶版になってしまってメルカリなどでしか手に入らないものもあるので、勉強し辛い分野かもしれませんが、少しでも私の情報が役立てば嬉しいです(^^